【技師長ブログ】工作機械修理・センターレス研削盤

投稿日:2022年07月13日

円筒研削盤で切込みハンドルが空回りしているようなので診にきて欲しい・との依頼

早速ハンドル部分を分解してみると・

ヘリカルギヤになるのかな?

まあ、吹っ飛んでますな・

しかも部分的に?

ギヤを取り外すべく後ろから分解していきます。

 

取り出したネジですが・完全に固着?バックラッシュ調整のネジもびくともしません

困った・・・。

原因を探ると・

 

なんと・ネジの保護のベローズを噛み込ませてしまっています・・・!

ベローズのゴムが噛みこんでバックラッシュ調整のネジを強制的に回してロック状態になってしまっています。

困りました・・・どちら向きに調整ネジが回されたのかが分かりません。

仕方ないので現場作業員さんも巻き込んで4人掛かり&パイプレンチ2基がけで雌ネジを回していきます。

空調効いてる部屋ですが大汗かいての作業となりました。

外れました~さて、これからが問題です。

本来なら交換なんですが、機械も古いし、真鍮製なので、おそらくかなり高額の雌ネジです。

で、今回はギヤの歯当たり位置をズラして対処しようかと・

スペーサーを作り12~13mm雌ネジを出してズラせばなんとかなりそうです。

スラストベアリングの型番違いで2mm薄いタイプがあったので注文

スラストベアリングの型番から調べると通常のスラストベアリンングより高荷重用でしたが、切込みの荷重が掛からない方向のベアリングなので問題はないでしょう。

残り10mmはフランジを新規に作る事でなんとかなりそうです。

図面も描けたので製作に取り掛かります。

 

丁度の丸無垢材が無かったので25mm厚の鉄板からガス切りして旋盤にて加工

 

インデックスに乗せて穴加工

 

オイルシールを組付けて完成しました。

以前のフランジ(手前)はベアリングを押さえる為に6mmの突き出しがありましたが、製作したフランジは4mmのザグリとなりベアリングが嵌まり込むようになっています。

これで合計12mmズレた部分へ相手のヘリカルギヤがくるようにできました。

内作が完了したので現場へ持ち込んで組付け

12mmのスペーサーは余ったスラストベアリングのレースを二枚重ねにして使用

スラストベアリングのプレロード調整は現場工場の旋盤を借りて大まかに調整後、残りをシムにて調整

ちょっと時間が掛かりましたがバッチリできました。

ねじのバックラッシュ調整したら組付けて試運転

  

動きもスムーズです。

これにて完治!

この部分に関しては・・・。

 

2022年7月13日現在の機械修理、機械移設、装置製作の依頼完了総数4100件