NC旋盤の後部より多量の油漏れがあるので修理して欲しい・との依頼が入りました。
回転シリンダー付近から漏れてきています。
カバーとロータリージョイントの合わせ目付近ですね。
油圧シリンダーとロータリージョイントが混ざった上、チャックのクランプ・アンクランプの検出機構にベアリング潤滑の機構もくっついたややこしい部品です。
ベアリング潤滑のリターンホースが詰まり気味だったのでこれが犯人かと思いきや
全く関係ない模様・・・。
主軸回転停止状態でまあまあの量が出てきます。
ラビリンスシールかな?
バラすしかないですな・
この状態で電源入れてみると・
ラビリンスシールのシール部分からではなく更に奥?
まあ、勢いでやってしまったので写真はありませんがラビリンスシールのリングを外したその合わせ面のパッキンの痛みが犯人でした。
リングを外す際取付けボルトが油でビチョビチョでしたので間違いないでしょう。
この取付けボルト部分へはパッキンがあるので通常なら乾いていないといけません。
傷んだパッキンを綺麗に剥がしてパッキンをやり替えて組み込み
カバー類のシールも傷んでいたので綺麗に剥がしてシーリングのやり直し
まあ、カバー類のシーリングも悪かったので漏れとなっていましたが、ちゃんと犯人を見つけられました。
試運転します。
油圧が入り主軸を回転させていない時にボタボタ出ていたので再現します。
出てきていた場所からは全く出なくなったので最後のカバーを取付けて・
これにて完治。
と・思いきや後日に漏れはじめてきました・・・
カバーに塗布した液体パッキンが痩せて漏れとなっていました。
今度はラビリンスシールの下側にある小さな穴からです。
そもそもこの小さな穴からこんなに滲んで出てくるのは異常なようです。
この穴をちなみにグリスで塞いでみると次はラビリンスシール部分から出てきます。
やはり異常があるようでした。(二秒に一滴ぐらい?の漏れ)
ただ、主軸が回転すると漏れは止まります。
油圧ユニットのエアブリーザの目詰まりでもラビリンスから漏れるようですが、それでもないようです。
止められない機械なので応急処置を行います。
本体とカバーのシールをしっかり行い、これまで垂れ流しとなっていたホースを外して油圧タンクへ帰るリターンホースにチーズを入れてそこへワンタッチジョイントでホースを繋ぎました。
コーキングにて本体とカバーの隙間に油が入らないようにしっかりシールして様子見となりました。
一応、油漏れは止まりましたが残念ながら完治ではなく応急処置となってしまいました・・・。
2023年4月25日現在の機械修理、機械移設、装置製作の依頼完了総数4558件
追記
後日違う機械で同じ物を分解する機会があったので構造を見てみました。
同じようにパッキンはボロボロ
ピストンを抜くとその奥にOリングが見えます。
おそらくこのOリングが傷んでいるのでしょう。
ドローバーを外さなくても引っ張ればピストンを残して外す事ができるようですが
どうせやるならドローバーを抜いてOリングは全部交換した方がいいでしょう。