古い輸入工作機械の修理依頼が入りました。
ソビエト時代のフロアボーリングになります。
現場は・ちょっと遠い。
症状は、送りのモーターは回っているが切削送りしない。
手動では動くけど自動送りでは主軸クイルが出てきません。
調べていくとモータースピンドルに付いているクラッチが滑っているようです。
モーターを外してクラッチを確認しようとしましたが、フリクションディスクは全て粉になっていて跡形もありませんでした・・・。
部品の入手は困難なので周辺部品を持ち帰りそれらの情報からフリクションディスクを製作する事にしました。
外径Φ95で45山のフリクションディスクを真鍮材で作ります。
先ずは図面から
図面があれば最適な刃物径と座標が分かります。
ディスクのギヤ部分はエンドミルで削ってつくります。
削り足りない箇所はヤスリ仕上げ
問題は厚みです
元々の部品が存在しないので厚みも枚数も不明
僅かに残った痕跡をみると2枚のようですが・・・?
2枚だと1枚の厚みは8mm付近?
ちょっと組み込んで伝達トルクをみます。
2枚だと伝達トルクが不足しているようですし、中央のクラッチプレート同士を重ねる格好になってしまうのでやはり違うようです。
ディスクの厚みを5mmに落とし3枚にしてみました。
伝達トルクも上がってけっこう力を入れないと滑らないようになりました。
これが正解のようです。
現場へ持ち込んで組付けていきます。配線がややこしい・・・。
ソビエト連邦時代の輸入機械ですが、ネジ類は普通にミリねじなので特殊な工具が不要で助かります。
ギヤシェーパーや立旋盤なんかもミリねじでJIS規格?って思ってしまう
ポーランド、チェコスロバキアもミリねじでしたね。
組み上がったので隙間からクラッチ部分を確認
う~ん・・・5mmは厚すぎたかな~?
1mmほどディスクが飛び出てます・・・
4mmぐらいが正解だったかな?
まあ、特に問題ではないので試運転
でっかいドリルで穴あけしてもらいました。
クラッチが滑る事もなくグリグリと送って行くので問題ないようです。
部品を持ち帰ってから翌々日の昼には組付け完治させる事ができました~(*^^)v
2023年5月19日現在の機械修理、機械移設、装置製作の依頼完了総数4590件