【技師長ブログ】工作機械修理・大型旋盤

投稿日:2021年10月14日

全長15mポーランド製の大型旋盤で早送りが時々動かないので診てほしいとの依頼。

早速エプロンの前蓋を外してみました。

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この状態でちょっと動かしてみて様子をみてみます。

この旋盤は送りの駆動には同期モーターが使われているので面倒な事にならなきゃいいけど・とか思いながら試運転

この時には症状は出ませんでしたが、よく観察していくと・

原因を発見しました。

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向かって右の電磁クラッチに「焼け」が見受けられます。

クラッチの間隙を確認するとディスクがかなり摩耗していました。

間違いなくこのクラッチの滑りで早送りが止まっていまっているようですが、様子が変です。(動きが鈍いような?)

テスターで確認するとコイルへの電圧が低いようです。

24vの電圧がきていません。

制御盤内のマグネットスイッチを調べてみると接点が焼けて接触不良を起こしてました+ギヤボックス内の潤滑不足でクラッチに油がきていません。

これは長期戦となりそうです。

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焼けと異常摩耗で要交換の電磁クラッチなんですが・なんと部品在庫アリ。

簡単には外れてはくれませんが・・・。

加工途中の状態で部品入荷待ちとなったので一旦復旧して加工できるようにします。

マグネットスイッチは余りの接点端子があったのでそちらに接続

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5日後、部品が入荷してきたのでまたまたバラし・

外れました~

潤滑不足の影響か?ベアリングが一か所完全に砕けていました。

この画像には写っていませんが、後ろ側に付いているケーブルベアなんかも全部外しています。

ポンプなんですが、この旋盤はエプロン下にプランジャーポンプが1つと電動のポンプが1つの2基

電動側のポンプから油が出ていませんでした。

原因は・・・エプロン下に溜まったヘドロ。

吸い口が完全にヘドロの中・・・。

この旋盤のZ方向の送り伝達は通常の旋盤と違いヲォームギヤを使っていてその部分は開放されているので外の汚れがウォームギヤを伝いエプロン内へ入ってきてしまい易いのでベット側に付いているウォームラックの汚れには注意が必要です。

ポンプ本体も分解洗浄Oリング交換、エプロン内の洗浄、クラッチ交換、ベアリングは4個交換

組付けて試運転!潤滑油もしっかり出てます。

 

2名で合計15.5時間の作業でした。